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リング 

「私、できちゃったみたい」
彼女は、あっけらかんと俺に告げた。

突然のことで、声が出ない。

彼女のことはとても大事だ。
でも、俺たちは若すぎる。

大学を出たばかりの彼女と俺。
まだまだ遊びたいし、やりたいことも山のようにある。

子供の俺たちが、子供なんて。
正直、気が重い。

「もう、逢わない方がいいでしょ」
彼女は、いつものさばさばした調子で伝票をつかむ。
「私のことは気にしなくていいから。元気でね」

彼女の後ろ姿が人混みに紛れる。
俺は、引き止めることもできなかった。


彼女は綺麗に俺の前から姿を消した。
勇気を出して、アパートのドアを開けた時にはもぬけの殻で。


俺の、したいこと。
俺のこれからの人生。


「ねぇねぇ、ちょっと見てよ」
いつか、街路樹の脇に突然しゃがみ込んだ彼女。
「ほらほら、かたつむり。こんな都会にもいるんだね」
「そんなのどうだっていいじゃん」

いつも、彼女の目には沢山のものが映っていた。

忙しさに紛れて見逃すものも。
当たり前のように広がる空の中にも。
何かを見つけては、きらきらと目を輝かせていたっけ。

いつも、急かしてばかりの俺。
刺激にしか反応しない鈍った五感。


当たり前のものは、いつも失ってからその価値に気付く。
でも、それじゃ遅いんだ。


微睡みから目覚めて、君の姿を探す。


くたびれた鞄に、急いで荷物を詰め込む。
いつか聞いた彼女の故郷。


「あのね。空の色が違うの。此処とは全然違うんだよ」
バンドの練習の帰り道、くすんだ空に両手を広げた彼女。

「空なんて、何処も同じだろ」
「違うんだってば。来れば判るよ」


彼女の故郷へと向かう電車に乗り込む。


今度は、同じようにしゃがみ込んでかたつむりを見るよ。
とりあえずは、君の故郷の空の色を。

これからの人生、守りたいものがあってもいい。

産まれてくる命が、君と同じ目をしていればいいな。


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[ 2005/07/09 13:22 ] ちいさな物語 | TB(0) | CM(0)

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